2.リピート、ファンの嘘

  リピート、ファン…。
  これらは、新規顧客の獲得の広告、広報の認知を必要としない。
  そして、新規獲得するための広報含むプロモーション費用が採算が合わないため、顧客満足度を高めるCRMを行うことで広告費用をペイさせよう。
  いわるゆLTVの概念でROIをたてるのが広告戦略の基本のキになっている。
  僕は、そのプレゼン、セミナーのほとんどが、Saas事業のポジショニングトークに過ぎないと断言していいと思っている。
  もっと詰めて言うと内容に再現性がない。その時はそうだったね。という現象をノウハウとか成功とかに置き換えて皆さんもうまくいきますと言っている。

  アカデミック、つまり学術論文でいう論文の主軸である再現性は、ある一定の条件下で行うことが前提。
  その前提条件は、ECの特性上統一させることはほぼ不可能。
  商材が同じでも規模、対象、集客の条件、プラットフォーム、デザイン、コメント、価格、量、運営の人材、すべての条件がそろうことがほぼない。
  それで再現性があるわけがない。
  また、統計学上、母数の少ないデータではデータのゆれが必ず発生する。
  ECのCVRがかかわる再現性を論じるにはデータ量が全く足りない。
  ABテストで100回テストした場合はAがよかったが、しばらくたって同じABテストをするとBがよくなることはよくある話。
  同じ条件で同じABテストができることもほぼない。非常に難しい。
  100万回のコンバージョンでの統計データなら信憑性もあるが、100回や1000回のデータでは条件変われば全部変わる。
  つまり、ECにおいて確実な売上の上がるエビデンス。つまりデータとノウハウとサービスとシステムは存在しないことになる。

  話を戻そう。
  リピート、ファンを語るにはこの前提情報がありつつ、考察を進めていかなくてはいけない。
  売り上げを支えているのはリピーター。ファン。
  これは間違いない事実だと思う。
  ただし、リピート前提の単品通販。サブスクという継続販売は、広告をペイさせる必要があるがゆえに、3回まではなんとか購入し続けてもらいたい意図が見え見えの
  販売スキームになっている。
  現在では法が規制をしてくれているが、それでも抜け道でなんとか強制購入を促すようなあの手この手で販売している。
  僕らはすぐ解約できる情報を確認して購入するが、情弱のお客様、めんどくさいお客様は、いやいやしょうがなく、購入し続けるモデル。
  それがリピート販売かサブスクモデルと言われるモデルである。
  だから、継続率が異様に低い。3か月でやめるところがほとんど。初回お試しでやめる人も半数以上。
  もちろん、一部の商品や企業は別。ただ全体の中のあくまで一部。肌感覚10%未満じゃないだろうか…。

  次、トントンのギリギリ儲かってない、ギリギリ儲かっている企業の話。
  かろうじて、継続してくれるお客様が残っていても大儲けはできない。
  必須のお値引きクーポン、認知してもらうっための同梱ツールの作成、メールの作成配信、インバウンドコール、アウトバンドコール。
  誰がやるのだろうか…。
  上記の内容をきちんとマメに実施してもリピート数が30%切っている場合、さらにクオリティアップが必要になる。
  ターゲットごとに内容を変え、ONEtoONE対応にするため、外注費を払いスタッフのCRMにかかわる時間(分析時間も含む)も増やし、5パーセントアップできたとして…。
  リピートから生み出される売り上げ100万だとしたら、5%の5万円。
  1000万円だとしたら、50万円。
  やる意味あるのだろうか…。
  人件費は年々上昇傾向。
  もう一度言う。
  売り上げを支えるのはリピーターやファンであるが、リピート施策、ファン施策を前提としたサービスやシステムには大きな相関性はない。
  多くのリピーターやファンがいるところが効率化を図るために利用しているだけだ。
  もう少し結論付けると、単品通販やサブスクで成功するためには、リピートのシステムやファンづくりのサービス以外のものが重要であり、それができていなければ絶対。
  そのままでは絶対うまくいかないと断言できる。